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介護実践発表会

 

介護実践発表会

 

第6回『介護実践発表会』を開催しました!!
『介護実践発表会』平成30年6月24日(日)10時~12時

 

日 程

10:00 開会挨拶

       社会福祉法人やまゆり 理事長 石崎 文久

 

10:05 第1部 やまゆり苑の看取りケアについて

・実践発表「最期まであなたらしく」

     ~どう看取られ、どう生きたいか共に考える~

 《平成29年度全国老人福祉施設研究会議「看取り部門」最優秀賞受賞》

           特別養護老人ホームやまゆり苑

               介護職員  鎌田 亜紗

・「やまゆり苑看取りケア委員会の取り組み」の報告

 看取りケア委員会 委員長:玉木 圭

・助言:加藤医院 院長 加藤 哲夫

 

10:45 休憩

 

10:55 第2部 実践発表             

○施設で安心して暮らすとはどういうことかを考える

 ~難病の進行により排泄方法を変更した経過より~

 特別養護老人ホームやまゆり苑  介護職員 妹尾 雄木

○知的障がいの特性を生かした生活支援

 ~計画性と言葉かけ~

 特別養護老人ホームやまゆり苑  介護職員 小池 宏侑

○個別レクリエーションの実施とその成果について

 ~九十の手習いから始まる生き甲斐の創出~

 通所こもれびの家        管理者  福島 誠司

○わたしたちの地域包括ケアの実践

  ~住み慣れた地域で自分らしい暮らしをして頂く為に~

 やまゆり居宅介護支援事業所 介護支援専門員 石﨑 仁久

 

11:55 意見交換

      閉会挨拶

       社会福祉法人やまゆり 

         施設長 多田 好江

 

12:00 終了

 

*事例発表にあたり内容、写真についてご本人又はご家族の同

意を得ていることを申し添えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5回『介護実践発表会』を開催しました!!
『介護実践発表会』平成29年6月25日(日)10時~12時

  6月25日(日)に『介護実践発表会』を特養やまゆり苑において開催しました。

 利用者ご家族様や地域・関係機関の皆様、そして職員など約140名が聴講する中、特別養護老人ホームやまゆり苑  嘱託医 加藤哲夫 氏に「やまゆり苑の医務室から ~医療の限界~」と題して基調講演を頂き、続いて4名の職員が施設サービスや在宅サービスでの日頃の取り組みを発表しました。

 お忙しい中お出かけ頂き、本当にありがとうございました。

日 程

10:00 開会挨拶

      社会福祉法人やまゆり 

         理事長 石崎 文久

 

10:05 基調講演

    「やまゆり苑の医務室から ~医療の限界~」

                    特別養護老人ホームやまゆり苑

         嘱託医 加藤 哲夫

      

10:45 休憩

 

10:55 実践発表             

○窪田小学校4年生との交流事業から得たもの

 ~世代間交流の効果と意義について

     通所やまゆり 介護職員 佐藤 恭子

 

○100%の理解者になりたい

 ~いきいき外出計画を通して~

     グループホームせせらぎの家 

           介護職員 和田 由紀子

○「センサーマットを外してほしい」という思いに応えるための取り組みを通して学んだこと

 ~私たちが目指す自立支援~

     特別養護老人ホームやまゆり苑 

           介護職員 安食 祐衣

                                            ※抄録はこちらから

○認知症の方が安心して豊かな時間が過ごせるための支援を考える

 ~人間性の尊重とコミュニケーションの方法~

     特別養護老人ホームやまゆり苑 

           介護職員 濱村 初美

                                           ※抄録はこちらから 

 

11:55 意見交換

      閉会挨拶

       社会福祉法人やまゆり 

         施設長 多田 好江

 

12:00 終了

 

*事例発表にあたり内容、写真についてご本人又はご家族の同意を得ていることを申し添えます。

 

 

 

 

 

第4回『介護実践発表会』を開催しました!!
『介護実践発表会』平成28年6月27日(日)10時~12時

  6月26日(日)に『介護実践発表会』を特養やまゆり苑において開催しました。

 利用者ご家族様や地域・関係機関の皆様、そして職員など約150名が聴講する中、出雲市 健康福祉部 高齢者福祉課・金築真志 氏に「高齢者介護をめぐる話題~日本と出雲の現在・過去・未来」と題して基調講演を頂き、続いて4名の職員が施設サービスや在宅サービスでの介護・看取りなど日頃の取り組みを発表しました。

 発表後、参加されたご家族様から「ここのサービスを利用しているが、1人1人のことを細やかに考えて介護されていることを初めて知りました」など感想がありました。

 お忙しい中お出かけ頂き、本当にありがとうございました。

日 程

10:00 開会挨拶

      社会福祉法人やまゆり 理事長 荒木 孝

 

10:05 基調講演

     「高齢者介護をめぐる話題

        ~日本と出雲の現在・過去・未来」

                     出雲市 健康福祉部 高齢者福祉課

               課長 金築 真志 氏

      

10:45 休憩

 

10:55 実践発表             

○自宅での生活に役立つ短期入所サービスをめざして

 やまゆり短期入所事業所 介護職員 陶山 弘明 

【はじめに】

 短期入所事業所は利用者の心身機能の維持や家族の負担の軽減を目的に介護や機能訓練を行っている。しかし、現場の職員には短期入所での介護や機能訓練が自宅での生活にどのように影響しているのか、介護者は効果を感じているか分かりにくいことがある。今回、体調不良をきっかけに定期的に利用された方の1年間の関わりを通して、短期入所サービス事業所が果たす役割を学んだので報告する。

【事例紹介】

 A氏 女性 100歳 要介護度3 88歳で脳梗塞発症、両下肢筋力低下がある。介護者である息子と二人で生活されている。自宅ではベッド上で過ごされており、入浴介助のため訪問介護サービスを利用しておられる。脳梗塞発症以前はデイサービスを利用されたり、自宅では草取りや縁側でお茶を飲まれたりして生活されていた。平成26年12月、便秘と食事が摂れないため、便通と脱水予防・食事支援を目的に2泊3日の緊急利用をされ、以降も定期的に利用された。

【実践内容】

①上義歯がなく噛むことが不十分で、口腔内に食物を溜めておられ、食事時間が延長していた。栄養補給に繋げることを考えて、軟飯や荒刻み食を試した後に、粥とミキサー食を提供することとした。自宅においてはミキサー状態のレトルト食品の使用を勧めた。

②内服時錠剤が飲み込みづらいことについて、潰しての対応可能と分かり、ご家族と相談して、錠剤は潰して服用していただいた。

③水分摂取量が少ない原因の一つとして、口唇を十分に閉じることができないために、口の中に取り入れてもこぼれてしまうことがあった。ストローを使用することで、口唇を閉じることと筋力の低下を補うことを試みた。

④自宅では歩行の機会がほとんどない。立つ姿勢が安定しポータブルトイレへの乗り移りが一人でできるように歩行や体操、レクリエーションの機会を増やしていった。

【成果とまとめ】

 平成27年11月頃には食事摂取量も安定し、排便も定期的にあった。飲茶や行事などの参加により、会話をされる機会が増えた。また、ご本人から希望され居室前の草取りをされた。自宅ではポータブルトイレへの安定した乗り移りや立つ姿勢の保持、確実な服薬、本人の嗜好やご家族の都合に応じたレトルト食品の提供などにより介護負担が減った。自宅での生活に効果のあった支援は①食べることや栄養に対する支援②日常生活の動作に対する支援②日常生活の動作に対する支援③活動参加に対する支援④家族との情報交換である。このことから、短期入所の生活支援では、積極的に機能回復・維持を支援することが自宅での生活を継続するために有効であるとわかった。介護者の休息のためのサービスにとどまらず、今後もご家族との連携を重視して、住み慣れた自宅での生活に役立つ短期入所事業所でありたい。

 

 

○食べることは生きること

 通所やまゆり 介護職員 佐藤 恭子

【はじめに】

 「あなたはあなたが食べた物でできている」というCMを観たことがありますか?

 この言葉にもあるように人間の身体は食べた物でつくられている。人は、食べ物を摂取する事によって必要な成分を体内に取り入れ、生命の維持だけでなく心身共に健全な活動を営む事が出来る。栄養不足は身体機能の低下に直結し、意欲が低下し、生活の質の低下にもつながる恐れがある。食べることは生きていくいための支えである。今回、この事例を通して改めて食べる事の大切さ・意義について気付く事ができたので報告する。

【実践内容】

 A氏 90歳代 女性 要介護1 一人暮らし 生活上での一番の支援者は近くに住む娘。

 既往歴:高血圧症・高脂血症 脳梗塞(後遺症による右不全麻痺、機音障害(発音が出来にくい))

 生活歴:家政婦会に入り入院患者の身の回りの世話をしていた。28歳で結婚し、その後は畑仕事などをして暮らす。夫は平成26年11月に亡くなり、一人暮らしとなった。

 本人の意向:娘は同居を望んでいるが、嫁がせた娘へ気兼ねする気持ちと、長年住んでいた自宅に対する思いがあるため、ご本人は、「最期まで自宅で暮らしたい。」と思っている。

【実践内容】

 A氏は、平成27年1月、入浴目的でデイサービス利用を開始した。当初は、表情が暗く笑顔が少なく声が小さくて、言葉は聞き取りにくかった。食欲が乏しく、食べる量が少ないため、体に力がなく、思うように体を動かすことが出来ず、自宅では、転倒、ベッドからの転落等が度々あった。

 自宅で元気で暮らして頂くためには、デイサービスを継続して利用し、体力をつけることが最優先課題と考え、①A氏との信頼関係を築くこと②食事が食べられる支援をすること。この二つを目標として支援を開始した。信頼関係は築けたものの、食事は、一人暮らしであることも手伝って、なかなか一日三度の食事がとれないでいた。体調が引き続き安定せず、夏場には体調不良から生活支援ハウスへ2か月間入居した。その間、一日三度の食事をきちんと食べたことで体力が回復し、A氏は「食」の大切さを、身をもって感じ、その後の食生活への意識が変わっていった。「食べて体を動かす」という職員の言葉を忘れずに自分でなんとか栄養を摂ろうと考えたり、自宅で運動を続け、その結果、安定した歩行ができるようになり、楽しみにしていた孫の結婚式に、自分で歩いて参加することが出来た。

【成果やまとめ】

 A氏と関わる中で、食事の大切さを痛感した。栄養不足は身体機能の低下に直結し、生活の質の低下にもつながる。高齢になると、病気や身体機能の低下、身近な人との別れなど、喪失感や不安感をたくさん経験し、生活意欲も低下する。食事を食べるという行為は、多くの身体機能を使うので健康になり、おいしいものを食べると幸せを感じる。それが“生きる意欲”にもつながる。食べることは幸せに生きることの必要最低条件ではないかと気づいた。デイサービスは今回の事例を糧として、いつまでも高齢者が食べる意欲を失わないように支援していきたい。

ー倫理的配慮ー

 本人、家族に対し本事業の趣旨を口頭で説明し、同意を得た。個人情報の取り扱いは、当法人の個人情報取扱規程を遵守している。

 

 

○最期のこだわりに寄り添う私たちが見たもの

 やまゆり訪問介護事業所 サービス提供責任者 原 久美子

【はじめに】

 介護の現場でよく聞く「その人らしさ」。しかし、そこに行きつくことは決して容易なことではない。「その人らしさ」とは何か、「自分らしく生きぬく」とはどういうことか。そのスタート地点にあるのは、その方の思いをどのように理解するかであるように思う。今回は、その「思い」そして「寄り添い」について、自宅での終末期の関わりを通して学んだ事例について振り返ってみることにした。

【事例紹介】

 A氏 85歳男性 要介護度1(後に変更により要介護度5となる。)

 末期癌と診断を受け、余命は半月とされていたが、ご家族の希望により本人告知はされず。主な介護者は病身の妻。二人暮らしであるが、町内に娘が在住している。入院治療をご本人の強い希望で中止し自宅に戻られた。意識、意思は鮮明で、退院時のカンファレンスにおいてはヘルパーの受け入れには消極的であった。

【実践内容】

 支援において重要と考え実践した点。 

①支援チーム間の連携

 終末期に入ると、専門職種の関わりが増え、それぞれの特性に応じた支援が行われていく。チーム内で、毎日訪問する私たちだからこそ出来る役割を考えた時、重要視したのが「日々細やかな状況把握と、メンバーへの正確な情報の周知」である。事業所間で記入する共有ノートを活用しチームメンバーが最新の情報を正確に共有できるようにした。

②ご家族の介護に対する不安の解消

 終末期にご家族が感じる不安は計り知れない。在宅生活の継続には介護者(ご家族)の存在は不可欠であるが、そのご家族の辛さや孤独、不安や思いを支える支援をし、サービスの提供を行うこと、そして訪問頻度が高い私たちにこそ出来ることだ。特別なことではなく、「そばに居る」と感じて頂くことが重要である。「寄り添うこと」を大切に「今困っていることは何か。心配なことは何か。」を明確にしながら、知識や技術を提供し、都度、不安感を解消するように努めた。

③限られた時間を、ご本人ご家族と共に生きる

 限られた時間をどのように過ごすのか。これは一言で片づけられる話ではない。そして、それを支えるということは、決して容易なことではない。何が正しいかは人それぞれである中で、私たちの知識や提案を押し通すことも、全く伝えないということも正しいことではない。ご本人やご家族の選択を、その状況ごとに見極めながら支援していく。

【成果とまとめ】

 「その人らしさ」と頻繁に口にするが、それを本当に理解し実現することは困難を極める。だからこそ、ご本人やご家族と本気で向き合い、解ろうと努力をすること。悔いなく送りたいというその思いに寄り添い、共に大切にすること。これこそが、望むべき道であると考える。今後も、ご本人、ご家族の言葉や思いに耳を傾け、福祉に携わる一人として真摯に取り組んでいきたいを考える。

 

○看取り期における緩和ケア

 ~その人らしく生き抜くための支援を通して~

 特別養護老人ホームやまゆり苑 介護職員 神田 みか

【はじめに】

 緩和ケアとは、病気に直面して患者及びその家族がより穏やかで充実した生活を送れるように病気による身体の痛みや心の苦悩を和らげることを優先し、その人らしく最期まで生き抜くことを支援することである。癌・慢性疾患を患い高齢で当苑に入所されたA氏は、入所10日後身体機能と体力が著しく低下し、約1ヶ月後には近い将来 死に至ることが予想される看取り期と診断された。看取り期の緩和ケアを通しての学びと見えてきた課題について報告する。

【事例紹介】

  A氏 90歳代 要介護度3 平成27年7月当苑に入所。脳梗塞による右半身麻痺があり、慢性心不全、慢性腎不全を患っておられる。日常生活動作は殆どが全介助を要すが食事は自力で食べておられた。意思疎通は円滑であり、認知症はない。7月31日発熱以降、身体中に浮腫みが現れたり呼吸が正常に行えないことが度々みられるようになる。8月12日ご家族より癌の全身転移の情報があり、8月下旬頃には床を離れ車椅子で出掛けられること(以下、離床という)も困難となられる。9月初め頃より看取り期と診断され、12月23日ご家族に見守られ息を引き取られる。

【実践内容】

①苦痛の軽減 身体的苦痛に対しては、投薬による治療と身体の痛みがあるところを優しく擦るタッチングをすることで疼風の緩和に努めた。生活の場が主に居室となられ寂しさや孤独感、悲しみ、喪失感も感じられた。このような精神的苦痛に対しては、職種間で情報を共有しながらA氏が1人でいる時間も減らしできるだけ誰かが一緒に居られるように努めた。

②食事支援 8月に入ると徐々に離床が困難となられていく中で、A氏は食事を離床して自分で食べたいと意思を示された為、リビングでの食事の支援に努めた。9月3日「ここで食べる。手伝って。」と初めて介助を委ねる発言が聞かれ、以降食事の場をリビングから居室へと自己決定された。投薬による治療の開始以降、身体的苦痛の軽減とともに食欲が増加した。A氏が食べたいと希望されたものを食べたい時に提供するという姿勢を職種間で共有して取り組んだ。

③居室の設え 入所時より居室にはベッドを設えていたが、身体機能が低下し意識もはっきりしない状態の時「畳の上で死にたい」という訴えがあった。A氏の本当の思いは、「自宅の畳の上で死にたい」という思いであったと考えるが、苑でできることは限られておりその中で最善を尽くして畳を設えた。

【成果とまとめ】

 投薬による治療とタッチングにより身体の痛みは軽減された。多職種が協力してA氏との時間を意識的につくり寄り添ったことで最期まで意思表示をして頂くことができ、「食べるだけ食べて死ぬ」という思いを全うされた。又、「畳の上で死にたい」という訴えは、要望ではなく昔の記憶に思いを馳せておられるA氏に対して傾聴する姿勢が大切であったと考えられる。看取り期の緩和ケアを通して、その人らしく生き抜くことを支えるためには、苦痛を取り除くこと、コミュニケーションができる場合は最期まで思いを聴き続けること、ご本人が話す言葉の本質まで探っていくことという3点が重要であると学んだ。ご本人の苦しみをキャッチするコミュニケーションの力を強め、苦痛緩和のスキルを磨いていくことが今後の課題だと考える。

 

 

11:55 意見交換

      閉会挨拶

       社会福祉法人やまゆり 施設長 森山 アサ子

 

12:00 終了

 

*事例発表に当たっては、内容は、写真についてご本人又はご家族の同意を得ていることを申し添えます。

 

 

 

 

第3回『介護実践発表会』を開催しました!!
『介護実践発表会』平成27年7月12日(日)10時~12時
 利用者ご家族様や地域・関係機関の皆様、そして職員など約150名が聴講する中、当法人嘱託医加藤哲夫先生が「地域包括ケア」と題して講演を行い、続いて4名の職員が特養や在宅サービスでの介護・看取りなど日頃の取り組みを発表しました。

 今回は、講演者や実践発表者全て法人内の者で行い、‘‘力を合わせ’’、‘‘法人の総力を挙げて’’この介護実践発表会を行いました。この経験をこれからも活かしていきたいです。

 お忙しい中お出掛け頂き、本当にありがとうございました。

日 程

10:00 開会挨拶

       社会福祉法人やまゆり 理事長 飯塚 勉

 

10:05 基調講演

     「連携 ~地域包括ケア~」

     特別養護老人ホームやまゆり苑 嘱託医 加藤哲夫 先生

      

10:45 休憩

 

10:55 実践発表             

○利用者と共に作る「ときめきプラン」実施

 ~本人、職員がわくわくする事をしよう~

 通所やまゆり 管理者 杉山富子

【はじめに】

 デイサービスでは、個別の通所介護計画を作成し日常の介護にあたっている。今年度、事業所では利用者の想いを実現していくため、どのように取り組むか思案し利用者、担当職員がわくわくする「ときめきプラン」を作成した。「ときめきプラン」とは主に利用者さん自身が自分が自分の言葉を文字にしていく。今回このプランを作成することでいくつかの成果、気づきがあったのでここに報告する。

【方法】

①利用者さん全員にしてみたい事、行ってみたいところ、会いたい方など自由に書いてもらう。書けない方は職員が聞きながら書く。

②担当職員がより詳しくそのことについて聞き取りを行う。どうして行ってみたいと思われたのか、してみたいのはどうしてかなど。その想いを聞き出す。

③それを実行するにはどうしたらよいか、デイサービスで頑張る事など一緒に考え、まとめた内容を画用紙に文章や絵で現わし、「ときめきプラン」の作成をする。

④出来上がった「ときめきプラン」は自宅に持ち帰り目につくところに提示する。家族の方に自宅での支援内容について説明を行い、目標が達成できるよう協力を依頼する。担当のケアマネジャーにも渡し利用者さんの今の想いを伝え、デイサービスの面会時や自宅訪問の時に声かけなどお願いする。

⑤目標に向け個別の機能訓練、体操等を行っていく。

⑥目標の実行。機能訓練、体操等の成果を見る。

 

【成果とまとめ】

 介護保険ではその人らしさを大切にと言われているが、デイサービスにおいてその人らしさが表現できているだろうか。今回、「ときめきプラン」を作成することで、職員は利用者の生活してこられた背景や思いをより知ることができた。利用者さんは提供されるプログラムをただこなすだけでなく、目的や目標を理解した上での参加となり個々の目標達成に繋がった。また、自立支援については「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支援する」とある。自分で選択し、自分で買って決定する、自分で実行する事の支援が今回の「ときめきプラン」となる。行きたい場所、してみたいことを自分で決め、どうするとできるのか考え、実行するという過程において自立支援の一歩となったと考える。

 今後の課題は全員の方にできていないので実施していき、目標が達成できたら次はどうするか、利用者さんと一緒に間会え、ときめきプランにより、自分らしさが表現でき、今より自立した生活が送れるよう専門職として考え実行していきたい。

 

 

○綿がはじけて「袖なし」ができた

 グループホームせせらぎの家 介護支援専門員 安喰由美子

【はじめに】

 グループホームとは、小規模で家庭的な環境で、生活をのんびり、しかし、何らかの役割を持ちながら楽しむ、家庭的な「第二の住まい」だ。

 せせらぎの家では、9名の利用者さんに対し、認知症の進行を緩やかにし、身体機能を出来るだけ維持していただくため、調理、買い物、掃除、畑仕事、得意なことなど、利用者の方がこれまで自宅で行ってこられた日常生活を、入所後も引き続き生活の場で活かせるよう計画的に支援している。また、地域社会とつながりを持ち、いつまでも住み慣れたこの地で、自身を持って生活をして頂けるよう日々業務にあたっている。その中で、今回、綿栽培に続く綿製品販売と袖なし作りを通して様々な成果が得られたので報告する。

【実践内容】

 平成24年、25年度にかけて、せせらぎの家では綿栽培を行ってきた。栽培を始めたきっかけは、畑の整備や苗の栽培、管理、収穫までとほぼ一年を通し、それぞれの利用者さんが役割を持って活動的に過ごすことを目的に実践してきた。

 2年間でまとまった量となり、ある利用者さんから「この綿売れるんじゃない~」と話があり、利用者さんと職員間で相談し、綿製品を作ってみることになった。ただ製品を作るのではなく、「綿」を通じて地域とつながりは持てないだろうかと思案し、「法人の秋祭りに自分たちで作った綿製品を販売する」という目標と、裁縫の得意なお二人には「袖なしを作る」という目標を立て、実践した。

【成果とまとめ】

 秋祭りで販売した綿製品は、利用者さんには主に製品の包装や表示の作成をして頂いた。

 それぞれの思いが詰まった製品が出来上がり、当日も利用者さん自ら陳列を行った。お店がスタートすると皆さん生き生きとした笑顔で店番をされ、地域の方との交流や旧知の方との再会を楽しんでおられた。また普段見ることのできない表情や自身に満ち溢れた姿を見ることができた。

 袖なし作りでは主に2名の利用者さんが作成に当たった。

 2名の利用者さんは以前に何度も作られた経験があるが寸法まで覚えておられなかった。袖なし作りは施設ではもちろん初めての試みであり、まず綿打ちから始めた。少量の綿打ちを快く引き受けてくれた布団さんや、古い着物を譲って下さった近隣の方、作り方を指導してくださった地域のボランティアさんの協力を得ることで2着の袖なしを作ることができ、綿栽培を行った利用者さんを含め皆で完成を喜ぶことができた。

 私たちグループホーム職員の役割は、「いつまでも住み慣れた地域で、自身を持って生活していただく」ことの支援を行っていくことだ。専門的な視点を持ち、それぞれの利用者さんが喜びを感じながら生活していただけるよう、これからも努力していきたい。

 

○精神病薬を内服することで穏やかな生活を取り戻した事例から学んだ事 ~介護と医療の協働の重要性~

 特別養護老人ホームやまゆり苑 介護職員 石橋智美

【はじめに】

 高齢者は様々な病気や環境によって、食事を食べる量(以下、食事摂取量という)が減ったり、脳の働きが衰えることによって、怒りや攻撃といった行動をとりやすくなる。高齢者が穏やかに暮らしていく上では、食事をおいしく食べることや、周囲の人との関係が円滑である事は大切なことである。私達は、食事摂取量が低下していくことと、職員による介護を拒否したりすることで生活に支障をきたした利用者のケアを通して、介護と医療の協働の重要性を学んだので報告する。

【事例紹介】

 E氏 80歳代 要介護度4 49歳で脳出血を発症、78歳で脳梗塞を発症した。後遺症のため、左半身の麻痺があり、左側の空間を認識できない。平成22年、脳梗塞の治療後に当苑に入所。苑での生活場面では、急に怒り出すことや、家で家族と過ごしていたような妄想様の言動があったが、利用者や職員との交流もあり、安定した様子だった。平成24年9月からリウマチ性筋痛症の治療が開始となり、全ての薬の管理が苑の嘱託医からA病院の担当医へ移行された。平成25年4月頃から食事摂取量が1割程度まで低下した。同じ頃から介護拒否も現れ始め、利用者や特定の職員を強い口調で非難する事が多くなった。A病院では、認知症の検査では異常がなく、食欲不振に対する薬の調整が続いた。私達は食事を食べられない原因や、気分が変調して攻撃的な言動が出る背景を考えて、適切な支援をすることで穏やかな生活につなげたいと考えた。

【実践内容】

 1.食事摂取量が低下していることについては本人と話合うことが難しかったため、管理栄養士、看護師、ケアマーネージャーらと日常的に相談して工夫し合い、家族にも協力を得た。食事を噛みやすくて飲みやすい形態にしたり、寿司屋への外食支援、お弁当容器での昼食提供、普通の食事の半分の量を提供、体の痛みへの配慮、同席する人の調整など様々な取り組みをした。しかし、7ヶ月後からは牛乳やメイバランスという液体の栄養補助食品を蓋付きのカップに入れてストローで飲まれるだけになった。

 2.介護拒否や暴言については、冷たい手で触れることや、質問をする、会話が長い、言葉じりが荒いなどの場面が不快の要素の一つであると思われた。それらに配慮するとともに、出来るだけE氏が頼れる職員が対応した。しかし症状は悪化し、E氏が頼れる職員は一部しかいない状況になった。

 3.E氏がA病院への受診を拒否したことから、平成26年4月から苑の嘱託医が治療を担当することになり、E氏が不快な気分で暮らしていることに対して精神病薬を服用することとなった。内服1ヶ月後には食事も介護拒否も改善し始めて、本人は穏やかな生活を取り戻した。

【成果とまとめ】

 穏やかな生活を取り戻すことができたのは精神病薬の効果が大きい。私達は、精神病薬はなるべく使用しない方が良いと考えて自分達のケアで解決しようとした。E氏に行動制限や過剰な薬物依存を行うことなく、多職種が共同して本人が心地良いと感ずる刺激によるケアの実践は今後の取り組みにも生かしたい。一方で、精神病薬への偏見をもたずに医療職へ相談することや、正しい知識を得るために学習することが必要である。精神症状により生活に支障をきたす高齢者は多い。介護と医療の協働を念頭におき、その人らしく暮らしていけるように支援していきたい。

(参考文献 高齢患者特徴を踏まえてケースに臨む大塚恒子総編集)

 

○やまゆり苑での終末期ケアについての一考察

 特別養護老人ホームやまゆり苑 看護師 竹下智代子

【はじめに】

 終末期とは、一般的に、老衰・病気・障害の進行により死に至るいかなる方法も無く、予想される余命が3ヶ月程度と定義されているが、高齢者においては経過を予測することが難しいという特徴がある。また医療水準の向上、介護保険制度施行に伴い高齢者の生活の場の選択肢が増えている等の要因から人生最期の過ごし方、死の迎え方に対する考え方も多様化してきている。現在、延命治療についての意識調査は全国的にもやまゆり苑入所時の意向調査においても、8~9割が希望しないという結果である。また26年度のやまゆり苑の死亡者数中約8割が苑で亡くなられている。

 私たち看護師は、終末期において最期までその人らしい生活が出来る事を目指して、苦痛の緩和や心の安らぎ、家族の支援を目的に看護をおこなっている。具体的には食べたり飲んだりが困難になった時点で、栄養補給と誤嚥性肺炎予防の対策を講じる一方で、終末期と医師が判断した場合は本人家族の意向を確認し意向に沿ったケアの提供に努力している。中には経管栄養や点滴を行う事もあり、身体機能の回復の見込みがないいわゆる終末期では、経管栄養や点滴が痰の増加や浮腫などの合併症をまねき返って苦痛を増強させることにもなっている。この度T様の経過を振り返り終末期における経管栄養や点滴の身体的負担について再認識し、本人家族の意向に沿った終末期の緩和ケアについて考察できたので報告する。

【事例紹介】

 T・S様  昭和5年生まれ 要介護5

 既往歴  糖尿病  高血圧 認知症等

 入所期間 平成24年10月1日~平成26年11月4日

【実践内容】

 平成24年10月入所時から食物や唾液に咽られ、平成25年1月に嚥下機能検査を受診される。その結果を踏まえ安全な経口摂取のためのケアを行い、暫くは食事で体調を維持できていたが、平成25年12月誤嚥され入院された。ご家族はやまゆり苑入所当初は食べられなくなれば、経管栄養はせず自然な経過で死を迎えることを希望しておられたが、状態が回復し意識が清明なT様に何もしないことに心を痛められ、結局胃瘻造設を選択されて退院された。以後経管栄養となられたが、痰の量が多く呼吸状態安定のためのケアが常時必要であった。その上で経管栄養や点滴を行いながら小康状態を保っておられたが、H26年10月呼吸状態悪化。最終的にはご家族の意向で経管栄養や点滴はせず、安楽な呼吸と姿勢、心地よい気温と心地よい排泄、新たな苦痛を与えない等のケアにより終末期をご家族と共に穏やかに過ごされ、11月4日静かに息を引き取られた。

【考察】

 ① 高齢者の状態の変化から終末期にはいられたかどうか判断する

   事、そのことを家族と共有し意向を支持することの重要性を感

   じた。また意向を判断するための関わりも家族支援の一つであ

   るということがわかった。

 ② 終末期における体調管理と苦痛の察知について考察。終末期に

   おいて、経管栄養や点滴は場合によっては苦痛に繋がることが

   わかった。自然に枯れることの穏やかさを感じた。

 ③ 終末期のケアとは、・心地よく‘‘生きる''ためのケアを見出す

   事。・どうすることが人間らしく生き、人間らしく死ねるかと

   考える事である。

【まとめ】

 1.今後は、本人や家族が終末期の過ごし方の意向を判断するため

   に必要な医学的な情報を提供して判断への支援を行う。

 2.終末期においては、経管栄養や点滴は必ずしも安楽に繋がらな

   いことがわかった。今後は、細やかな状態観察で苦痛の原因を

   察知し身体の苦痛の緩和と、心の安らぎのためのケアを、家

   族・多職種と連携して実践していく。

 

(参考文献)

  病院及び高齢者施設における高齢者終末期ケア 百瀬由美子

                  日医誌 2011年48号

  ELNEC-J 高齢者カリキュラム 看護師教育イン島根県

                         2012年

  施設における終末期ケアと看護倫理    桑田美代子

          島根県看護師職能Ⅱ研修会   2015年

 

(引用文献)

 「平穏死」のすすめ  石飛幸三P120

 病院及び高齢者施設における高齢者終末期ケア 百瀬由美子P227

 

 

 

11:55 意見交換

      閉会挨拶

       社会福祉法人やまゆり 施設長 森山 アサ子

 

12:00 終了

 

 

 

 

 

 
福祉業界の専門雑誌「認知症ケア最前線」に掲載&紹介されました!

 

 

 

 

 「認知症ケア最前線」vol.49平成27年2月5日 発行(発行元:㈱QOLサービス)において、特養における地域貢献活動の紹介と題して、当法人の特別養護老人ホームやまゆり苑が取り上げられました。

 当法人が運営実施しております、特別養護老人ホームやデイサービス、ホームヘルパー、グループホームなどでの日々の介護等の取り組みを、地域づくりの足掛かりとして、地域の方々を対象として、発表会という形式で公開しております。

 その取り組みを知った雑誌編集者が、その内容を雑誌に掲載させてもらいたいとのことで、今回掲載&紹介されました。

 福祉業界の専門誌ですので、一般の方はなかなか見る機会がないかもしれませんが、ご報告しておきます。

 

 

 

 

 

『介護実践発表会』を開催しました!!
平成26年6月29日(日)〔特別養護老人ホームやまゆり苑〕

 

 

 利用者ご家族様や地域・関係機関の皆様、そして職員など約120名が聴講する中、当法人庶務課長多田好江(認知症サポーター養成キャラバンメイト)が「認知症と向き合う」~それぞれの立場・それぞれの役割~と題して講演を行い、続いて4名の職員が特養や在宅サービスでの介護・看取りなど日頃の取り組みを発表しました。

 発表後、参加された地域の方から、「ぜひうちの地区でも本日の認知症の話をして欲しい」と、早速依頼依頼がありました。

 今回は、講演者や実践発表者全て法人内の者で行い、‘‘力を合わせ’’、‘‘法人の総力を挙げて’’この介護実践発表会を行いました。この経験をこれからも活かしていきたいです。

 お忙しい中お出掛け頂き、本当にありがとうございました。

 

 

            【日程】

10:00 開会

 

10:05 講演 「認知症と向き合う」

          ~それぞれの立場・それぞれの役割~

         社会福祉法人やまゆり 庶務課長 多田 好江

         (認知症サポーター養成 キャラバンメイト)

 

10:40 休憩

 

10:50 実践発表

○「その人らしく」生きるために 

 ~Aさんの世界観の共有と関わり~

  通所かがやきの家 管理者 松熊 芳子

【はじめに】

 通所かがやきの家では、介護保険法で定められた事業所で、在宅生活をされている要介護者・要支援者の方々に通って頂き、レクリエーション・入浴・食事・日常動作の訓練等のサービスを提供している。サービスの提供により、自立生活の支援、孤立感の解消、心身機能の維持、ご家族の身体的・精神的負担の軽減を目的としている。現在利用定員10名に対し、日々3名の職員で業務にあたっている。

 当事業所で認知症と診断された利用者、「軽度認知症」と考えられる利用者の割合は、全体の5割を占めている。今回は、当事業所で行った認知症の方に対するケアで良い成果が表れたので、ここに報告する。

【成果とまとめ】

 今回、デイサービスで以上の取り組みを行った結果、一番に変化が表れたのはAさんの表情だった。利用当初は不安からか表情が硬く、他の利用者からの声かけにも一言二言のみの返答であったが、取り組みが進むに連れ、じっくりとテーブルに着き、表情豊かに昔の事、地域の事、仕事の話など生き生きと話される姿が目立つようになった。更に、何かが気になり、外へ出かけようとされる事が少なくなった事や、デイサービスでなかなか入れなかった入浴も、行えるようになった。

 その成果は、認知症に対する理解を深めた上で、Aさんに対し個別にプログラムを組み、対応を行った結果だと考えている。

 Aさんが、皆さんの輪の中に入り、ご自分の中にある世界観を共有出来る事、ここは自分の居場所である、仲間が居て落ち着ける場所だと感じてもらえたら幸いだと思う。

 

○「さぁ~、みんなで出かけら~や」

 ~歩いても転ばない体づくり~

 グループホームせせらぎの家 管理者 吉川 知里

【はじめに】

 支援の中で、「転倒」という一瞬の出来事がその人の生活を変え、願いや笑顔を奪ってしまう事を私たちは経験した。この経験が利用者にとって「怖い思いをしたくない」、職員は「転んでほしくない」と消極的な考えに変わっていく原因になった。思いや願いを叶える支援から、安全に日常を送れる支援に変わってしまった。そこで、もう一度、誰もが「笑顔」で過ごせる様に、今一番影響を与えている「転倒」に焦点を置き支援を見直したことを報告する。

【成果とまとめ】

 消極的な支援から、「笑顔」で生活する為に必要な事をすべきであるという積極的な意識に変わり、継続して行う事で成果が見えてきた。それが自身につながった。課題としては、プログラムの評価の仕方、一人ひとりに合わせたプログラムの検討がある。そして、これからもたくさんの問題が起こると思うが、今回の取り組みが共に考え、立ち向かう為の原動力になっていく事を信じている。

 

○「利用者の意思に基づいた看取りケアに向けて」

 ~ビハーラ活動と本人の意向を聞く活動の報告~

 特別養護老人ホームやまゆり苑 

 介護支援専門員 石﨑 仁久

【はじめに】

 看取りとは近い将来に死に至る事が予測される方に対して、死に至るまでの期間お世話する事である。

 わが国では超高齢化社会を迎え、多くの高齢者の看取りをどこでどのようにしていくかということが課題となってきている。自宅での介護や医療保険の限界もある一方で、「延命治療を望まずに静かに最期を迎えたい」と言う考え方も広がってきている。この様な中で、特養で最期を迎えられる方が増えつつある。特養での看取り介護は、入所者本人・家族の思いを受け止めて日々の生活を支えることが求められている。

 やまゆり苑では年間約10名の方を苑で看取っているが、看取り期の生き方や望みをご本人と話し合うことは出来ていなかった。そこで利用者の思いを知り、支える事を目的に、平成24年度から宗教家の方によるビハーラ活動と、介護支援専門員による聞き取りを行ってきた。2年間の活動を通して今後の方向性を考えたので報告する。

【成果とまとめ】

 ビハーラ活動と併せて介護支援専門員が利用者に出向き、聞き取りを行いながら徐々に考えをまとめていく作業を経て、5名の思いを聞く事に繋がった。ビハーラ活動の中では利用者が「住職と○○屋のおばさん」といった地域社会での関係性を持ち、住職は利用者の思いや悩みを聞いて支持してくれる存在であった。また仏の話やあの世の話を交えながらの談話は「死」を話題にし易い環境作りに繋がった。ビハーラのお茶会では利用者自身の看取りの意向を語り合うものにはならなかったが、これに連動した居室での聞き取りは有効であった。今後も活動を広げ、利用者が考えるプロセスを支援したい。

 

 ○「本人の意思確認ができない方の看取りケアを考え     

 る」~本人の思いを推察したケアの実際~

 特別養護老人ホームやまゆり苑

 介護職員 今岡 友香子

【はじめに】

 本人からの意向を確認できない方の看取り期に、生活歴やご家族との話し合いの中で、本人の意向を推察してケアをした。本人の意向が確認できない方の、最期をどう支えるかを考えたので報告する。

【成果とまとめ】

 今回の事例は、長期間の入所であり、A氏をよく知ることができた。また、ご家族との関係作りもできていた。しかし、やまゆり苑では入所期間が短かったり、認知症等により情報収集や関係作りが困難なケースが増えている。私たち介護者は高齢者の意思が確認できなくても、意思に沿った支援が出来るように、その方を良く知る努力をすることと、そこから本人の思いを汲み取ることが重要である。日々の生活の中で感じることやご家族とともに考える機会を持つことが、本人の意思に沿ったケアに繋げることができると考える。

 息子さんの中ではA氏が亡くなられた後も、食べられなかったことに対し、お腹がすいたのではないかと思い、看取りケアがこれで良かったのかと迷いが続いた。その後、看取りに関する新聞記事をを見て本人にとって苦痛だったのではないかと思っていたことが、そうではなかったと思えたと話された。そこでやまゆり苑での看取りケアにおいては、本人の苦痛についての説明が不十分であるという、家族支援での課題が見えてきた。

 この事例から、以下の3点が、本人の意思確認ができない方への看取りケアの視点であると考える。①本人の意向を推察するするために家族と他職種チームで話し合う。②ケアの中で本人の思いを汲み取る努力をする。③家族の意思決定を支えるためには説明が重要である。

 

 

11:50 意見交換・質疑応答

 

12:00 閉会

 

 

 特養ホールで行いました

  認知症と診断された方は、特別な人ではありません。その人はその人のまま、何も変わりません。今までどおり、一緒に暮らしたい。一緒に暮らせる地域を目指して。

  職員が日々の介護の取り組みについて熱く発表しました

  多くの方々にお越し頂きました

 発表者の発表補助者です。発表を終え、皆で記念撮影です。